ちょっとした工夫でできるオフィスの地震対策(後編)

「ちょっとした工夫でできるオフィスの地震対策(前編)では、おもに家具類の転倒、落下、移動の防止を取り上げました。後編の今回は、そのほかにもまだまだできる地震対策をご紹介します。いずれもあまり予算をかけずに、オフィスレイアウトのひと工夫や意識づけで導入できるものばかりです。

耐震のビルにも備えは必要!天井材の落下に注意を

東日本大震災の日、開港からわずか1年の茨城空港ターミナルビルで、3m×11mもある大きな天井パネルが8.3m下に落下しました。最新の建物といえども想像以上の大規模地震の前では決して安全ではありません。とりわけ首都直下地震が起きれば、大きな揺れを受けた建物では、天井材の落下で多くの被害が出るといわれています。

子どものころの避難訓練でも経験があるかと思いますが、天井材の落下から身を守るためには、素早く机の下に隠れてヘルメットをかぶることが第一。そのためには足元には何も置かず全身が入るスペースを確保したり、磁石付きのフックを取り付けてヘルメットをかけておいたりする必要があります。ヘルメットはロッカーや倉庫にしまっておいたのでは、いざという時に間に合いません。

オフィスの中でも特に安全なエリアを意識的に作る

国の耐震基準は「震度6強でも安全が確保される」ことを前提としています。しかし、震度6強を超える強い地震が来ないという保証はありません。そこで、万一の場合に家具類が転倒しても従業員がけがをしないように、オフィスのレイアウトを見直しましょう。その際のポイントは、家具類を執務スペースから離すこと、そして移動した家具が避難通路を塞がないようにすることです。

また、頑丈な壁面や柱の近くで、しかも天井材落下のリスクも低そうな場所を「安全エリア」として確保し、落下・転倒の可能性のあるものを置かないようにすることも効果的です。震災時には、簡易避難場所兼対策本部として大活躍します。

ストッパーや金具以外の便利な地震対策グッズ

地震対策グッズは、ストッパー、突っ張り棒や金具だけではありません。書類・ファイルの雪崩(なだれ)現象を防ぐために有効なのが、書類の下に入れる薄型の飛び出し防止ゴムマットや、扉のないラックや本棚に取り付けるベルト型の飛び出し防止ガードです。また普段はファイルを取り出すのに邪魔にならない位置(ラックや書棚の下部)にあり、揺れを感じると自動で跳ね上がってファイルの飛び出しや落下を防ぐ感震式のアルミ製のバー(横棒)もあります。

定期的な訓練で、従業員の意識と錬度を高める

いくらオフィス家具の転倒や落下、移動の対策を行い、また、アイテムや必需品などを買い集めても、地震が起きた時に従業員がしかるべき行動をとれなければ、「画竜点睛を欠く」ことになってしまいます。その意味でも、震災を想定した避難訓練を定期的に実施することはとても重要です。

地震発生時には、「DROP!(まず体を低くする)」「COVER!(頭部を守る)」「HOLD ON!(動かない)」が基本行動です。何度も訓練することで従業員に浸透させましょう。また、非常事態での各自の役割を明確化し、通報連絡、初期消火、応急処置、救出、避難誘導などを平時からシミュレーションをしておけば、実効性はさらに高まります。

チェックリストで定期的にオフィスの現状を確認する

最後にまとめとして、東京都消防庁が作成した「オフィス内の転倒・落下・移動防止対策チェックリスト」をご紹介します。せっかく実施した地震対策も、日々の業務に追われたり大地震の記憶が薄れたりするうちに、ほころびが目立つようになります。四半期に1度、少なくとも半年に1度はこのチェックリストと自社のオフィスの現状を照らし合わせ、不備があれば、直ちに改善するようにするとよいでしょう。

オフィス内の転倒・落下・移動防止対策チェックリスト(※1)
  項目 チェック
1 背の高い家具を単独で置いていない。  
2 安定の悪い家具は背合わせに連結している。  
3 壁面収納は壁・床に固定している。  
4 二段重ね家具は上下連結している。  
5 ローパーティションは転倒しにくい「コの字型」「H型」のレイアウトにし、床固定している。  
6 OA機器は落下防止をしている。  
7 引出し、扉の開放防止対策をしている。  
8 時計、額縁、掲示板等は落下しないように固定している。  
9 ガラスには飛散防止フィルムを貼っている。  
10 床につまずきやすい障害物や凹凸はない。  
11 避難路に物を置いていない。  
12 避難路に倒れやすいものはない。  
13 避難出口は見えやすい。  
14 非常用進入口に障害物はない。  
15 家具類の天板上に物を置いていない。  
16 収納物がはみ出したり、重心が高くなっていない。  
17 危険な収納物(薬品、可燃物等)がない。  
18 デスクの下に物を置いていない。  
19 引出し、扉は必ず閉めている。  
20 ガラス窓の前に倒れやすいものを置いていない。  
21 コピー機は適切な方法で転倒・移動防止対策をしている。  

※1: 東京消防庁『家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック 平成27年度版』p38~39より