節電か?作業効率か?業務に支障の出る照明環境

2011年3月11日の東日本大震災以降、節電の意識が全国に高まりました。ほとんどのオフィスがこまめな消灯を徹底するほか、天井の照明を間引いたり、LEDなどの効率の良い照明器具に交換したりしました。しかし、暗くなって業務に支障が出ては元も子もありません。オフィスではどのように節電と知的生産性の両立を図ればよいのでしょうか。

照明を間引くことの問題点

照明間引きについて従業員アンケートを行うと、東日本大震災後の2~3年は「業務に支障はない」「許容できる」といった回答が圧倒的多数を占めるのが普通でした。しかし震災のショックが薄らいだのか、近年は照明間引きについて不便を口にする人も少なくないそうです。

照明間引きの問題点は、間引いた照明器具の直下が暗くなることです。特に日本のオフィスは、間接照明に頼らずに天井に設置した照明器具で従業員の手元の明るさまで確保するのが一般的であるため、ライトを間引いた時の影響は大きくなります。

タスク・アンビエント照明とは

欧米のオフィスでよく見られる照明方式で近年日本でも注目度が高まっているのが、「タスク・アンビエント照明」です。これは従業員の周囲に置かれた個人の業務に必要な明るさを提供する「タスクライト」(局部照明)と、天井や壁などに設置されたオフィス全体を照らすアンビエントライト(全般照明)を組み合わせるやり方です。

主なメリットとしては、アンビエントライトの照度を落としたり従業員が席にいない時にタスクライトを消したりすることで、かなりの節電になること、そして従業員がタスクライトで自分の好みの光環境に調節できることが挙げられます。

 照度の均一さに留意するのが成功のカギ

タスク・アンビエント照明でいくら手元を明るくしても、天井や壁が暗すぎると目の疲労につながります。なぜなら従業員は手元だけではなく、オフィスの隅々まであちこちを見回すからです。またオフィスの照度分布が不均一だと、認識に時間がかかるため知的生産性も下がります。

これを防ぐには、照度がなるべく均一になるように天井や壁の暗いところにアンビエントライトが当たるようにし、場合によっては必要な改修工事を行うと効果的です。

ニーズに合わせた照明器具を選択する

タスク・アンビエント照明以外にも、節電と知的生産性の両立を図るやり方はあります。業務の種類や日中に在席する従業員が多いか否かなど、シチュエーションやニーズを考慮して最適な照明を選ぶこともその一つです。

 センサー付きの照明器具が便利

明るさを検知する「照度センサー」や人を検知する「人感センサー」の付いた照明器具なら、節電を図りながらも作業効率を維持することができます。

例えば外光が入りやすい窓側の席では、日中はセンサーが反応して照度が下がり、屋外が暗くなると照度が上がるようにするのがオススメです。また、営業部門の席では、外回りなどで人がまばらになる時間帯はセンサーが働いて照度が下がり、多くの人が在席する時は照度が上がるようにするとよいでしょう。

センサー付きの照明器具に対して高価なイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし最近は価格が相当リーズナブルになっているため、節約できる電気代で早期に導入コストを回収できるでしょう。

 長時間のPC作業やプロジェクターの使用にも配慮

パソコンの前で長時間作業する場合、照明のディスプレイへの映り込みが意外と気になり、人によっては集中が乱されることもあります。そんな映り込みの解消には、光の拡散剤を使用した照明器具が適しています。光をムラなく均等に広げてくれるため、作業がとてもしやすくなります。

会議室でプロジェクターを使用する場合の照明も悩みどころです。明るくすればパワーポイントなどのスライドが見えにくくなり、暗くすれば今度はメモを取りにくくなります。そんなときは手元を照らすダウンライト付きの照明器具があると、とても便利です。